2022 年 10 月 16 日公開
第1回パルクール世界選手権が日本で開催中!パルクールとは一体どんな競技なの?
第1回パルクール世界選手権が10月14日(金)〜16日(日)に日本で開催されています。
記念すべき第1回世界選手権が開催されるなんてすごいことですね。
しかもパルクールの!!
え?
パルクールをご存じない?
そもそも皆さんはパルクールをどこらへんまでご存じですか?
聞いたことはあるけど、詳細までは知らない?!
今回は、パルクールという競技をまだ知らないという方の為に歴史や競技内容までご紹介していこうと思います。
パルクールとは?
パルクールとは、走る・跳ぶ・登るといった移動動作を中心に自身の心身を強化するスポーツです。
スポーツというと簡単に聞こえてしまうかもしれませんが、パルクールとはトレーニングメソッドをはじめ、アート、パフォーマンス、ライフスタイルなどあらゆる考えを土台にした運動なのです。
昨今では競技スポーツとしても捉えられることが増えてきました。
パルクールで鍛えるものは、筋トレ以外にも体力増強、コアバランス、空間を認識するスキル、正確さ、コントールなどさまざま。
体だけでなく精神を統一するのもパルクールの魅力なので、あらゆる角度から自分の限界を理解できるようになります。
パルクールを実践している人はよくパルクーラーと間違えられますが、正しくは「トレーサー」と呼びます。
勘違いされてしまうところとして、競技を見ると危険に挑むのがパルクールということではなく、自身の身体能力の中でできることを行うことが本来のパルクールなのです。
パルクールの歴史は?
パルクールの歴史は20世紀前半のフランスにまで遡ります。
起源はジョルジュ・エベルという元フランス海軍将校の体育教官が作成し、第1次世界大戦および第2次世界大戦中の軍隊トレーニングのスタンダードであったトレーニングメソッド「methode naturelle」にあると言われています。
この methode naturelle は「歩く、走る、跳ぶ、這う、登る、バランスをとる、投げる、持ち上げる、自衛する、泳ぐ」といった10種の基本的な運動から成り立っているものでしたが、この methode naturelle をベースに誕生したのが「parcours du combattant」という、障害物ありのコース形式による軍事訓練でした。
パルクールの誕生の背景には、この「methode naturelle」や「parcours du combattant」の影響が強くあります。
パルクールの歴史としては、1946年に始まった第一次インドシナ戦争で、父を失い孤児となったレイモンド・ベルという少年がいました。
インドシナ(現在のベトナム)にある戦争孤児院で生活を始めたレイモンドは、自身が戦争の犠牲者にならないためにと、深夜まだ誰も起きていない時間に起き、ランニングや木登りといったトレーニングに加え、軍隊に秘密裏に設置された障害物コースでトレーニングを続けました。
1954年の第一次インドシナ戦争が終わりフランスに戻ったレイモンドは、パリで軍隊教育を受け続け、フランス軍の管理下に置かれている消防士の職に就きます。
1984年、レイモンドの息子、11歳のダヴィット・ベルは、当時経験していた陸上競技や体操競技では満足できなかったため、父・レイモンドから「Le parcours」を教わることになります。
レイモンドは、かつて自身が過去に培ったさまざまなトレーニングを包括する言葉として Le parcours と称してきました。ダヴィット・ベルは、父・レイモンドから Le parcours の全てを学ぶことになります。
1997年にダヴィットは、友人・セバスチャン・フォーカンらと共に「Yamakasi」という9人グループを結成し、パリでのさまざまなパフォーマンスショーに出演し、次第にそのアクション的な側面が注目をされ始めます。
彼らは当時、自身達がやっているトレーニングを「Łart du déplacement(英訳:The art of movement)」と称してきましたが、その定義に関する不和や方向性などから、ダヴィットとセバスチャンはYamakasiを去ることになります。
1998年、Yamakasiを去ったダヴィットとセバスチャンにより、新たに「Parkour」(パルクール)という単語が誕生したのです。
日本での「パルクール」の歴史は?
2001年に映画「YAMAKASI」が公開され、翌年以降、少しずつ競技人口が増えていきます。
またテレビ番組やメディアなどでパルクールが紹介されることが増え、さらに泉ひかり選手や山本華歩選手が出演したCMの影響などもあり、認知度は確実に上がってきているようです。
ちなみに泉ひかり選手は「FIG Parkour World Cup Series 2018」にて、年間ランキングスピードラン1位・フリースタイル2位の結果を収めています。
2014年には日本パルクール協会も設立されました。(2018年に一般社団法人化)
また、2020年には総合格闘技のスター・朝倉海選手が自身のYouTubeでパルクールに挑戦した動画がとても話題になりました。
これで「パルクール」を認識した人も多いのではないでしょうか?
パルクールの魅力とは一体なに?!
パルクールを行うことで身体能力の向上が見込めるのはもちらんですが、これ以外にもたくさんのパルクールの魅力は多く存在します。
自身の身体能力を把握!そしてその限界を超えていく楽しさ!
パルクールでは「走る」「跳ぶ」「登る」といった基本動作をもとに、様々な体の動かし方をします。
これらの動作を行う際に、どのタイミングでどのように体を動かすのかを考える必要があり、自分で考えている動きと実際に行う動きがマッチした瞬間に達成感や喜びが生まれます。
また、その中で自分の身体能力がどれくらいかを把握することができる楽しさもあります。
自分自身の能力以上な危険なチャレンジはパルクールでは良しとされません。
いかに自分の身体能力でできることを実践していくかが重要で、自身の能力を把握して、巧みに体を操ることがパルクールの魅力と言えるでしょう。
また、最初は上手くできなくても、練習を重ねることでできなかったことができるようになっていきます。
それはまさに身体能力の向上。
自分の中の限界値を伸ばしていくことで、できることが増えていきます。
何歳でも楽しめる生涯スポーツ的な要素もあり
パルクールは若い人しかできないものだと思っていませんか?
そんなことは全くありません。
海外では年配の方でパルクールに取り組んでいる人もいます。
パルクールは自分の能力の中で行うものなので、何歳からでも行うことができるのです。
場所を選ばず、パルクールスポットに
パルクールはいつでもどこでも実践可能です。
練習施設や公園はもちろん、いつも見ている街でも、見方を変えればパルクールのスポットになります。
パルクールは身の回りの全てのものが障害物となるのです。
トレーサーは周囲の環境全てがフィールドなので、想像力が刺激されて「ここではこんな動きができそうだなぁ…」とクリエイティブに活動できることもパルクールの良さなのです。
※ただし、法令を守ってパルクールを実践することが重要です。
パルクールの競技人口は?!
パルクールは競技やトレーニングに分かれ、さらにパルクールそのものを定義する概念もさまざまなことから、正確な人口を把握できていないのが現状のようです。
イギリスでは、パルクール人口は10万人を超えているという調査もあります。
日本でも正式な調査は行われていないようですが、日本での競技人口は1000人程度と言われています。
スポーツ競技としてのパルクールのルールとは
もともとはパルクールは自己鍛錬として用いられ、他者と競い合う要素としては見られていませんでした。
しかし、近年ではパルクールはスポーツとして取り扱われることも多くなりました。
また、2024年パリ五輪において、フランス発祥のNEWスポーツして新種目採用が期待されたパルクールでしたが、2020年12月に国際オリンピック委員会の発表により、ブレイクダンスが新種目として採用された一方、残念ながらパルクールは採用には至りませんでした。
しかし、今後「パルクール」がオリンピック競技になることもあるのではないでしょうか?
①スピードラン
「オブスタクル」と呼ばれる障害物を超えながらゴールを目指し、そのタイムを競います。
スタートラインに設置されるカウントダウンによタイマーにより、15秒のカウントダウンが始まります。
選手は自分自身の裁量でカウントダウン内にスタートして良く、この時間内にスタートしなかった場合、そのランは失格となります。
②フリースタイル
90秒の中でパルクールの動きを組み合わせて”フロー”と呼ばれる一連の演技を表現し、3名の審査員が、E(実施)C(構成)D(難易度)の3項目を、10点満点で採点します。
流動性・創造性・技術性・危険減点を審査員が判断します。
流動性は、一連の流れの中で行われているかが見られ、止まらないで実施できるかが鍵となります。
創造性は、自由に演技できる中でパルクールの動きをどう組み合わせていくかが見られます。自分にしかできないオリジナルの動きを取り入れたり、他人が真似できないようなパルクール的な動きができるかどうかが重視されます。
技術性は、ミスなく自分の力をコントロールして正確に技ができるかが見られます。かつ、フローの中で正確に難易度の高い技ができると高得点が期待できます。
危険減点は、審判員が危険だと判断したものに対して減点されます。自身のできることを行うことがパルクールであり、無茶や無謀とは異なるのです。
選手が90秒以上パフォーマンスをした場合は超過時間内でのパフォーマンスは一切考慮されず、さらに総合スコアから3点減点されます。
そんなパルクールの世界大会が東京有明で開催中!
いかがでしたか?
少しはパルクールというものや歴史、魅力が伝わったでしょうか?
近い将来、オリンピック競技にもなるかもしれないパルクール。
そんなパルクールの第1回世界選手権が東京・有明アーバンスポーツパークで開催中です。
38の国と地域から約100人の選手が参加されているそうです。
コロナ禍で当初の予定よりも2年半遅れただけに待ちに待った世界選手権。
ご興味を持たれた方は本日最終日ですので観に行って、パルクールの凄さを感じてみてはいかがですか?
1st FIG Parkour World Championships Presented by Yahoo! JAPAN TOKYO 2022
会期 :2022年10月14日(金)~16日(日)
会場 :有明アーバンスポーツパーク(東京都江東区有明1丁目7番2)
競技種目:スピード(男子・女子)
フリースタイル(男子・女子)
入場 :無料
この記事を書いた人
『イートラスト株式会社 テクニカルチーム 主任/ B-rise運営事務局 副局長』
飲食業界で現場・SV・マーケティングを経験し、2014年イートラスト株式会社へ入社。ディレクター業務・カスタマーサポート業務を経て、現在はSEOやホームページ運用全般を請け負う「テクニカルチーム」を立ち上げ、責任者を担う。飲食業界に携わっていたこともあり、サービス業様へのWebマーケティング・SEO/MEOで貢献していくため、日々新しい試みを模索している最中です。