転倒し病院へ。消毒は不要と言われて驚いた!

つい先日、道端で足を取られて転び、腕や膝にすり傷を負いました。
出血もあり、汚れも目立っていたので、「まずは消毒しないと」と焦って近くの病院へ。
消毒薬でしっかり殺菌しなければと思い込んでいました。
ところが、診察にあたった医師から返ってきたのは予想外の説明。
「消毒はしないでください。水で洗って、清潔なガーゼなどで保護しておけば問題ありません」とのことでした。
あまりに当然だと思っていた「消毒」が、今では推奨されないケースもあるという事実に、少なからず驚かされました。
消毒が常識だった時代
かつて、すり傷や切り傷といえば、まずは消毒薬でした。
赤チン(マーキュロクロム液)、オキシドール、ヨードチンキなどは、家庭の救急箱の定番。
はしゃぎすぎて作った傷口にしみる感覚と泡立つ見た目が、幼いころの記憶にあります。
しかし、今ではこうした消毒薬は皮膚の細胞や組織まで壊してしまう可能性があり、結果として治りが遅くなることがわかってきました。
当時はまだそのリスクが十分に理解されておらず、「とりあえず消毒しておけば間違いない」という意識が一般的だったのです。

今は「洗って、保湿して、守る」が基本
現在の医療現場では、傷のケアは大きく変わりつつあります。
基本とされているのは「湿潤療法(モイストヒーリング)」という考え方。
傷口を乾かさず、潤いを保った状態で保護することで、皮膚が持つ本来の回復力を妨げずに、自然に治すという手法です。
具体的には、傷を水道水でやさしく洗い流し、ワセリンや創傷被覆材(ドレッシング材)などで湿潤状態を維持する方法で消毒薬を使う必要はありません。
この方法は、痛みが少なく、かさぶたができにくいため傷あとが残りにくいという利点もあります。
特に子どもや高齢者など、皮膚がデリケートな人にとっても有効です。
なぜ「消毒しない方がいい」のか
消毒薬は確かに細菌を殺す力がありますが、それと同時に傷を治すために働いている細胞も壊してしまいます。
そのため、自然治癒のプロセスを遅らせることがあり、結果として治りが悪くなる可能性があるのです。
また、過剰に消毒を繰り返すことで皮膚のバリア機能が損なわれ、かえって感染のリスクを高めてしまうケースも指摘されています。
現在では、医療現場での知見や研究により、小さな傷に関しては「消毒しない」「乾かさない」「こすらない」ことが推奨されるようになっています。
すべての傷が対象ではない
ただし、「消毒は不要」とされるのはあくまで軽度の擦り傷や浅い切り傷など、限られたケースにおいてです。
動物に咬まれた傷、泥や砂利が深く入り込んだ外傷、広範囲の裂傷などは、感染リスクが高く、消毒や抗生物質の処方が必要になることもあります。
また、糖尿病や免疫低下など持病がある場合も、自己判断で済ませず、必ず医師の判断を仰ぐことが重要です。
これからの傷ケアで覚えておきたい3つのポイント
1.消毒は必要なときだけ。小さな傷なら多くの場合不要。
2.水でしっかり洗浄し、清潔に保つことが基本。
3.乾かさずに保湿・保護することで、自然治癒力を活かす。

おわりに
「傷にはまず消毒」という考え方は、長らく私たちの常識でした。
しかし今、その“常識”が少しずつ変わってきています。
科学的な根拠に基づいた正しい知識を持つことは、日々の小さなケガのケアにも大きく役立ちます。
昔ながらの方法がすべて間違いというわけではありませんが、今の時代に合った選択肢を知っておくことで、より早く・きれいに傷を治すことができるかもしれません。
転んだこと自体は不運でしたが、消毒の新常識を知るきっかけになったのは、ある意味“ケガの功名”だったのかもしれません。
この記事を書いた人
『イートラスト株式会社 総合サポート本部 Webデザイナー』
笑うと目がなくなるタイプのWebデザイナー(見習い)
趣味は、散歩・読書・コジコジ。最近気になるものは、妖怪。特に河童。