2023 年 10 月 26 日公開
くじら肉って食べたことありますか?鯨食の始まりはいつから?

みなさまは「鯨(くじら)肉」って食べたことはありますか?
私は小学生の頃給食で竜田揚げを食べたり、新潟の居酒屋でくじら汁やくじらベーコンを食べたりと意外と食べたことがあるんです。
私の周りで「くじら肉を食べたことある?」か聞くと、半数くらいは食べたことないという答えが・・・!
地域性や年代も関連しているのでしょうか?
そういえば、『鯨(くじら)肉)』っていつから食されているのか気になったので、今回は鯨食の歴史をご紹介していこうと思います。


鯨食の始まりとは?
日本は古くから四方を海に囲まれた島国で、古来より海の恵みを食料資源としてきましたよね。
もちろん鯨も重要な食料資源として利用してきました。
日本の近海が鯨の回遊路に当たり、多種の鯨類が資源豊かに生息している環境が日本人の鯨食文化を育む要因になったと考えられています。
少なくとも縄文時代には、沿岸に流れ着いた寄り鯨を海からの恵みとして利用していたと考えられています。
また、縄文時代の史跡から、すでにこの頃から海に出て積極的に鯨を捕獲していた可能性も考えられています。
捕獲した鯨は食用として利用されたほか、不可食部位の骨なども土器の製造台などとして有効利用していたことが分かっています。
その後、飛鳥時代に仏教が伝来すると、その仏教の教えの影響から一般に肉食が禁止され、主に魚食から動物性タンパクを摂取してきました。
当時は鯨も海の幸として魚と同類と見なされていたため、貴重な食材として取り扱われ、江戸初期までは饗応料理や献上品として用いられていたことが当時の文献などから分かっています。


江戸時代に誕生した鯨組の存在
江戸時代の初期になると『鯨組』による組織的な捕鯨が始まり、その後網取り式捕鯨と呼ばれる効率的な漁法が開発されると鯨の供給量は大幅に増加していきます。
鯨組とは?
江戸時代に組織されていた鯨猟を目的とする漁民の組織のことです。
当時の日本の鯨猟は背美鯨 (セミクジラ ) を対象とするもので,17世紀の初め(慶長年間)紀州の和田頼元によって、突き組を30人前後で1組とし、これを刺し手組と名づけた「銛突きの法」が考案されたのことが始まりとされています。
その後、和田家は次第に分家したが、背美鯨の減少に代って座頭鯨(ザトウクジラ)が来集するようになり始めると、孫の頼治(のちの太地角右衛門)はこれまでの刺し手組を一大飛躍させて網取法を創始。
また、紀州と並んで有名であった土佐捕鯨は初め突漁を創始した(1624年~29年頃)が、やがて紀州から網取法を伝習し、津呂組、浮津組が二大勢力を張った。
その他、長門の捕鯨、九州西北海域では平戸藩生月島の益富家、肥前大村藩の網取法と全国各地で鯨猟がさかんに行われていたそうです。
くじら肉の流通用はこの時代から大きく増加することになりますが、当時は生肉類の保存技術がなかったため、赤肉や皮類は塩蔵して全国の消費地へと出荷され、内臓類等は主に産地で消費されていました。


鯨食が庶民の食べ物に
こうした江戸時代初期の捕鯨の背景から、鯨は江戸時代中期頃には庶民の食べ物となり、各地に鯨食文化が根付いていきます。
この鯨食文化は現在でも、高知県のくじら肉が入った「暮れの煮物」や島根県のくじらの皮を使った炊きこみごはん「くじらご飯」、北海道・新潟県・青森県の塩漬けにした背の本皮部分を使う「くじら(鯨)汁」、千葉県のくじら肉をたれに漬け込んで干した「くじらのたれ」、山口県の赤身や皮を味噌仕立てで煮込んだ「くじらの南蛮煮」、大阪府の鯨肉と水菜を使った「鯨のハリハリ鍋」など昔から鯨猟がさかんだった地域では今でも郷土料理として食されています。
江戸では年末12月13日の「煤払い(すすはらい)」の後に塩蔵した鯨の皮の入った鯨汁を食べることが庶民の慣習となっていたようです。
また、江戸時代後期に出版された書物「鯨肉調味方」には鯨の70種類の部位ごとに料理法が紹介されています。

諸外国の乱獲と沿岸捕鯨の衰退
一方、江戸時代後期に米国の捕鯨船が日本近海で鯨を乱獲した結果、資源状態が著しく悪化したため、日本の沿岸捕鯨は一時衰退を余儀なくされます。
しかし、明治時代後期にノルウェーから捕鯨砲による近代捕鯨が導入されると、鯨の供給量も回復し、鯨食文化は途絶えることなく継承されていきます。


日本国民を救った鯨食
敗戦後の食糧難の時代、日本人を栄養面から救ったのも鯨でした。
鯨肉は栄養価の高い安価な食材として庶民の食生活を支え、学校給食でも子どもたちの健康を育む重要なメニューとして供されてきました。
1962年までは国民一人当たりの食肉供給量において鯨が牛、豚、鶏を上回っていたことからもその恩恵がうかがえます。

反捕鯨運動と現在
1970年前後から欧米を中心に反捕鯨運動が巻き起こり、それとともに鯨の捕獲規制が強化され、鯨の供給量は年々減少していきます。
1982年IWC(国際捕鯨委員会)で「商業捕鯨一時停止」が決議された為、日本も1988年に商業捕鯨から撤退、鯨は高級食材として日常の食卓から遠ざかってしまいます。
しかし、その後も鯨肉市場は失われることなく、調査捕鯨の副産物や輸入品を含め年間五千トン程度の供給が維持されてきました。
その後、日本は国際捕鯨条約に基づいて、南氷洋と北西太平洋で、30年以上の間ミンククジラなどを調査のために捕獲してきました。
また、IWCの規制対象外のツチクジラやイシイルカなどのクジラ類は、沿岸小型捕鯨漁業とイルカ漁業によって捕られています。
しかし、クジラ類の中には十分な資源量が確認されているものがあるにもかかわらず、保護のみを重視する国々との歩み寄りが困難になったことから、2019年7月から、日本の領海および排他的経済水域に限定して、捕獲枠を設定して、商業捕鯨を再開しました。(参考:農林水産省ホームページ)


まとめ
いかがでしたでしょうか?
鯨食の歴史が少しはわかっていただけたのではないでしょうか?
今回ご紹介している「鯨肉」はハイスペック健康食とも言われています。
鯨肉はビタミンAが豊富で、低脂肪・低コレステロール。
高たんぱく・高鉄分で、ダイエットや筋トレに最適。
さらに脂肪分は良質で、DHA・EPA・DPAを多く含み、成人病の予防に期待できる食品です。

なかなかスーパーで見かけることが少なく、ご自宅の食卓に現れることが少ない「鯨料理」ですが、居酒屋さんなどにはメニューがあるかもしれません。
是非、メニューを見つけた際には「鯨肉」を食べてみてはいかがですか?
また、飲食店さんで今後「鯨」を使った料理をメニューに追加してみたいと思われたら、業務用鯨肉専門店「大阪のくじら屋」さんで購入してみてはいかがですか?
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(参考:一般社団法人 日本捕鯨協会)
この記事を書いた人
『イートラスト株式会社 テクニカルチーム 主任/ B-rise運営事務局 副局長』
飲食業界で現場・SV・マーケティングを経験し、2014年イートラスト株式会社へ入社。ディレクター業務・カスタマーサポート業務を経て、現在はSEOやホームページ運用全般を請け負う「テクニカルチーム」を立ち上げ、責任者を担う。飲食業界に携わっていたこともあり、サービス業様へのWebマーケティング・SEO/MEOで貢献していくため、日々新しい試みを模索している最中です。