建物の下によくある「定礎」の正体とは?

皆さん「定礎」という文字を見たことはありませんか?
ビルなどの建物で「定礎」という表記があるんです。
今回は建物の下によくある「定礎」の正体を、本来の意味から現在はなぜ埋め込まれているのか、解明します。
「定礎」とは
読み方は「ていそ」です。
建物の柱を支える土台の石を礎石といい、その礎石を据えることを定礎と言います。
つまり「土台石をすえること、建物の工事を始めること」を意味します。
定礎はビルやマンションだけでなく、学校や病院、商業施設などの大きな施設にも設置されています。
定礎石はおもに「定礎」という文言とその下に日付が彫られています。
日付は建築工事が始まった日や、定礎板を埋め込む定礎式の日付であることが多いです。
この定礎プレートの中には「定礎箱」という箱が入っており、設計図面や工事に関わった方々の名簿など建築時の所縁のあるものが入っているようです。
「定礎」の意味合いの変遷
歴史

「定礎」の歴史を見ていきましょう。
歴史はかなり古く、約5000年前までさかのぼります。
約5000年前というと…メソポタミア文明の頃。
この時代から「定礎」は存在し、当時は建物を建築する際の基準点かつ安全にという願いを込めて扱われていたようです。
日本に定礎の文化が伝わったのは明治時代頃とされています。
現在
その後、略式化が進み、定礎石を埋めるタイミングは建築当初ではなく外装工事が始まるときへと変化し、東南角に設置していていましたが建築物の出入り口付近の、みなさんがよく見る位置に変更となりました。
そのため、現在では建物の工事を始めるという意味合いから異なってきていることがわかります。
なぜ現在でも「定礎」を埋め込むのか?
「定礎」を埋め込む建物について特に決まりや義務もないです。
しかし、現在は定礎石や定礎板を埋め込みするだけでなく、工事の安全を祈願するために定礎式といわれる式典を行うことがあります。
ここからも分かるように現在、よく見かける「定礎」の正体はあくまで「慣習」であり、安全祈願といった儀礼的な意味合いで使われています。