2023 年 10 月 24 日公開

なぜ会社には企業理念があり、それを共有する必要があるのか

なぜ会社には企業理念があり、それを共有する必要があるのか

会社に勤めていたり、就職活動で企業のことを調べたりすると「企業理念」を見かけることがあると思います。

企業ではほぼ必ず企業理念を掲げており、その理念のもとに経営をしていきます。

 

今回は企業理念があることのメリットや問題点などについてご紹介していきます!

 

 

企業理念とは

「企業理念」は会社がなぜ存在するのかという存在意義を示すものです。

ちなみに似ている概念として「ビジョン」や「経営戦略」という言葉がありますが、「ビジョン」は会社が目指している将来の姿で、「経営戦略」はビジョンを実現するための具体的な行動計画を表します。

 

企業理念を前面に押し出している企業や、朝礼や唱和などをする企業に対しては「ブラック企業だ」や「宗教団体かよ」などと思う方もいると思いますが、企業理念を掲げるメリットは複数あります。

 

 

企業理念を掲げるメリット

企業の価値観を顧客や株主に示せる



企業というのは一種のブランドのようなものです。 顧客などにとって、企業の価値はもちろん提供するサービスや商品ではありますが、その企業がどんな会社で何をしているのかというイメージも大きく事業に作用します。

 

企業理念を掲げることで、その企業がどんな価値観で存在しているのかを示し、ブランドイメージを掲げることができます。

 

従業員の向かう方向を揃えられる

企業理念を掲げ、従業員に浸透させていくことで、会社が向かうべき方向を明示できます。

従業員はその理念に基づき、自身の仕事の方向性が明確になるので、価値のある仕事をするようになります。

 

各従業員がそういった思考で働くことで、会社全体の成長を期待できます!

 

他にも日々の行動で対立や迷いに直面した時に、理念に基づいた考え方はなにかを、従業員が考えることができるようになり、意見の相違があっても納得して次に進むことができます。

 

新規人材のミスマッチを防ぐ

企業理念を掲げて価値観を前もって共有しておくことで、企業の価値観に近い新規人材の確保がしやすくなります。

入社してから違った!などのミスマッチを防ぐことができます。

 

 

企業理念が浸透しないことで起こる問題

従業員の方向が乱れる



企業理念が従業員に浸透していないと、それぞれの従業員が向かう方向がばらばらになります。

方向に差異が出ると、それぞれの思考に基づいて行動するので、従業員間で軋轢が生まれたり、施策に対して批判が入り新しいものが生まれなくなっていきます

 

こうしたことが原因で、内部での連携が乱れ、仕事の質が下がっていきます

 

優秀な人材の流出

仕事は極論、お金さえもらえていれば満足という人もいると思います。

しかし、仕事の質が高い人は仕事に価値ややりがいを求めます。

企業理念が浸透していないと、会社の仕事への価値観が理解できず、そこで働く理由を見失います

 

基本的に質が高い人は、自分で自分の仕事に価値観を見出すことは可能ですが、帰属している組織に則した価値観が必要となってきます。

企業理念が明確でない、浸透していないと優秀な人ほど価値観を感じられずに転職や退職する人も多くなります。

 

採用のミスマッチ

企業理念が浸透していないと、採用した人との価値観のミスマッチが発生しやすくなります。

見る側はHPなどで企業理念を知り、自身の価値観と照らし合わせて働きたいかを決めます。

 

しかし、入社してみたらその理念とはかけ離れた実態で、働く理由をなくしたり、ギャップで退職する事にもつながります。

離職率の上昇にもなってしまうので、理念の浸透は重要となります。

 

 

理念を浸透させるには

企業理念を浸透させることは、かなりの時間と労力がかかります。 基本的に理念に基づくことを言うと、大体引かれます。

理由としては理想的な考え方に恥ずかしさを感じたり、現実味を感じなかったり、具体的な行動が分からないためです。

従業員に浸透させていくにはいくつかのポイントを抑える必要があります。

 

企業理念の価値観や哲学観を明確にする

ここまでくると一層怪しさが増しますが、松下幸之助さんや稲盛和夫さんの経営においても大切にされてきた根幹です。

企業理念を支えるのは哲学観や人間観で、社会の幸福や従業員の幸福などの価値観があります。

 

それが明確になっていないと、なぜその理念に基づいた行動をしないといけないのかが伝わらないので、従業員が行動に落とし込めません。

理念の根幹をなす価値観を広め、納得した上で行動してもらえるように周知する必要があります。

 

常に従業員に見える、確認できる環境を作る



企業理念は常に従業員の身近にある必要があります。

朝礼などで唱和するのも、その意味では有効だと思います。もちろん大声でやる意味はないと思いますが。

 

理念がしっかり浸透している会社では、企業理念や経営方針が記載された手帳などを共有しているところもあります。

 

 

今回は企業理念に関して紹介いたしました。

この時代では仕事の価値観が変わり、ないがしろにされることも多くなった企業理念。 正しく運用することは会社をいい方向にもっていくこともできますし、個人の成長のためにも有効だと思います。

 

同じ価値観のもと、正しく考え成長していくことは、仕事の価値を高めるので、やりがいも感じられてモチベーションアップもできますね!

 

 

ただし、より簡単に従業員を動かすものは給料です。

理念に基づいた働き方は質が高くなりますが、それ相応のリターンがない限り従業員の入れ替えが激しくなり、理念は浸透しなくなります

 

理念の唱和や社訓がある企業ほど危険という意見もあり、そういう企業は採用もほとんどうまくいかない時代になっているそうです。

そういったことも昔ほど日本企業が世界に進出できない要因かもしれません。

 

 

 

 

◆長嶋彰税理士事務所:https://nagashima-jimusho.com/

この記事を書いた人

今井 晴哉

『イートラスト株式会社 テクニカルチーム』
青森県出身。8年間、小売業界に従事しつつ趣味でライターとして活動。大手サイト(Yahoo!、朝日新聞社)の記事投稿やTokyoFMのラジオ出演の経験も。2022年にイートラストに入社。好きなものは家電、インディーズ音楽、動画編集。

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