結局、わたしは電動キックボードに乗れるの?【乗るための法律や免許を紹介】

自転車よりもコンパクトで、モーターの力でスイスイ移動ができる電動キックボード。 手軽な移動手段として注目を集め、ここ最近では都内で走っているのをよく見かけます。
そんな電動キックボードは法的な扱いが複雑で、まだまだ規制が浸透していないのも事実です。 そこで今回は、電動キックボードに関する法的扱いや、乗る際の注意点などをご紹介いたします!
電動キックボードとは

キックボードは車輪の付いた板に、ハンドルが付いた遊具のことです。基本的な操作は地面を蹴って進むことのみです。
ちなみにこの「キックボード」という名称はアメリカのK2社という会社の製品の登録商標であり、英語名は「キックスケーター」が総称として使われています。
英語で「キックボード」は普通は水泳の練習道具のことを指し、日本語で言うところの「ビート板」のことを表します。
電動キックボードは、キックボードに電動機や内燃機関が搭載されているものを指し、日本では原動機付自転車や自動車として扱われます。
電動キックボードは公道OK?
そもそも電動キックボードは公道での走行は認められているのでしょうか。
動力のないキックボードは遊具として扱われ、道路交通法では交通の頻繁な道路においては、使用が禁止されています。
一方で電動キックボードは、道路運送車両上は第一種原動機付自転車として扱われ、車道の走行のみが認められています。
公道を走行する場合は原付と同じ扱いなので、運転免許の取得、携帯や自賠責保険の加入が必要で、車両も制動装置(ブレーキ)、前照灯(フロントライト)、後写鏡(ミラー)等の構造及び装置を備えていることに加え、ナンバープレートの取得が必要になります。
この保安基準ですが、クリアしていない商品も多くあるので、しっかり確認する必要があります。
保安基準

- 前照灯(フロントライト)
- 警音器(クラクション)
- 後写鏡(ミラー)
- 制動装置(ブレーキ)
- 方向指示器(ウインカー)
- 尾灯(テールランプ)
- 制動灯(ブレーキランプ)
- 速度計(スピードメーター)
- 番号灯(ナンバー灯)※最高速度19km/h以下は不要
- 後部反射器(リフレクター)
公道の走行には多くの規制がありましたが2023年の7月に法改正があり、一部の法律が緩和されました。
2023年7月の法改正について
道路交通法の改正が行われ、定格出力0.6kW以下の電動キックボードは原付扱いから特定小型原付という区分になります。
変更された部分は以下の通りです。
運転免許が不要
ヘルメットは任意(着用義務)
速度制限が30km/hから20km/h
年齢制限が16歳以上に
最高速度表示灯が付いている
走行可能場所が車道以外に、路側帯、歩道も含まれる
最高速度表示灯は電動キックボードの最高速度を周囲に知らせるランプになります。特定小型原付の一部車種には、歩道を走行するためのモードが搭載されています。
6km/hの制限であれば許可された歩道の走行も可能になりますが、その際には最高速度表示灯が点滅している必要があります。(通常走行時は点灯)
16歳以上であれば、運転免許がなくても運転が可能になりました。しかし、ナンバープレートの取得や、自賠責保険の加入は引き続き必要で、保安基準に関してもクリアしている必要があります。
ここまでをまとめると
●保安基準をクリアしていれば電動キックボードの公道走行は可能。
●公道の走行は16歳以上であれば、ナンバープレートの取得と自賠責保険の加入で可能になる。
●電動キックボードは道路運送車両上は一般原動機付自転車と特定小型原動機付自転車に分かれる。
●最高速度20km/h以下、定格出力0.6kW以下、長さ1.9m以下、幅0.6m以下の車体が特定小型原動機付自転車になる。
●特定小型原動機付自転車の場合は、最高速度表示灯が必要である。
といったものになります。
規制の緩和によって、より乗りやすくなった電動キックボードですが、いざ乗ろうとするとどのくらいの費用が掛かるのでしょうか。
電動キックボードの相場

電動キックボードは公道を走る保安基準にクリアしている車体でだいたい10万円~15万円くらいです。
5万円前後の機種などもありますが、出力が弱く坂道で安定した走行ができなかったり、ハンドルの高さ調節ができなかったりと少しの不安や不便が見られる場合があります。
保安基準にクリアしているかはネットの販売などではトラブルが起きやすいので、第3者のレビューや、実際に見て確認するのがおすすめです。
購入から走行までの手続き
いざ車体を購入したら、どういった手続きが必要なのでしょうか。簡単にまとめると自賠責保険に加入して、ナンバープレートを取得するだけです。
ナンバープレートはお住いの地域の役所で申請することで30分程度で発行できます。発行するのに特にお金はかかりません。
自賠責保険は、コンビニなどで簡単に加入ができます。
他にも郵便局やインターネットでも加入ができます。
しかし、加入時に受け取る標章をナンバープレートに貼り付ける必要があるので、すぐに乗りたい場合はインターネットは向かないかもしれません。
ナンバープレートに標章を貼り付け、車体に取り付けたら公道を走ることができます。
走行時の注意点
便利な電動キックボードですが、走行するうえで注意すべきことも多くあります。
電動キックボードのタイヤはかなり小さいので、小さな段差でも転倒してしまうリスクがあります。なるべく段差は避けて走行するのがおすすめです。
特定小型原動機付自転車に分類される電動キックボードは原則として車道の左側を走行する必要があり、右側は走行してはいけません。
また、どのような交差点でも常に二段階右折をする必要があります。
事故なども増加
用者の増加に伴い、事故も多くなってきているのが現状です。
使用者が増加しているので当たり前のことでもありますが、死亡事故なども発生していますので、気を付けて利用する必要があります。
着用が任意となるヘルメットですが、着用した方が安心でしょう。
利用が規制されたケースも
パリでは2018年ごろから電動キックボードのレンタルが始まり、市内を15,000台もの電動キックボードが設置されていました。
しかし、マナー違反や事故などが相次いだことから、電動キックボードのレンタルを全面禁止しました。
日本でもレンタル事業が東京や大阪などの都市部を中心に展開されていますが、日本では一体どのようになっていくでしょうか。
一人ひとりがしっかりルールを知って利用することで、便利な移動手段になることは間違いないと思います!
利用される際は、交通ルールを確認した上で安全に利用しましょう!
この記事を書いた人
『イートラスト株式会社 テクニカルチーム』
青森県出身。8年間、小売業界に従事しつつ趣味でライターとして活動。大手サイト(Yahoo!、朝日新聞社)の記事投稿やTokyoFMのラジオ出演の経験も。2022年にイートラストに入社。好きなものは家電、インディーズ音楽、動画編集。