2023 年 3 月 8 日公開
自分に優しく人に厳しい人。それは人間の非合理な「バイアス」かも

人間の心理は一見正当ではない内容でも、正当と判断してしまう場合があります。
一般的にそのことを「バイアス」といい、思考や判断に偏りをもたらすことやその要因のことです。
今回はそんな「バイアス」をいくつか紹介していきたいと思います!
現状維持バイアス

現状維持バイアスはより良い条件の新しいことでも、すぐに取り入れないことを言います。
例えば、今より条件の少しだけいい給料で、同じ仕事ができると誘われても、すぐに転職する人は少ないです。
これは、「メリットを得られる」期待よりも、「何かを失う」不安の方が大きく、それを乗り越えるより現状を維持した方がいいと思うためです。
スマホやネットなどの基本料金が高いのにもかかわらず、3大キャリア以外に変えない人が多いのも、このバイアスが関わっています。

不作為バイアス

不作為バイアスは何かをしてマイナスを得るよりも、何もしないでより大きいマイナスを得た方がマシというものです。
年間に3万人が亡くなる病気が流行して、ワクチンが開発されたが副作用で年間で2万人の人が亡くなるとなった場合、1万人の命が救われますが、ワクチンが承認されることはありません。
合理的に考えると救える命が多くても、その行為によってマイナスが出るなら、何もしなくていいというものです。
心肺停止の女性がいて、心肺蘇生をしたらセクハラで訴えられるかもしれないので、何もしない方がいいと思うなども、不作為バイアスが関わっています。
正常性バイアス

正常性バイアスは有名ですが、警報や避難勧告が出ても、大丈夫だと思って行動しないなどのバイアスです。
人はめったに起こらないことに対しては、過小評価をしてしまうことです。
大地震などの自然災害の際にも逃げ遅れによる被害が絶えないのは、このバイアスのせいです。
希少性バイアス

希少性バイアスはその名の通り、希少性を感じるものに魅力を感じるものです。
「限定」「~日まで」などの言葉で希少性を感じて、「この機会を逃すと手に入らないかもしれない」「貴重なものだ」と考えてしまう傾向にあります。
純粋に在庫が多い商品と少ない商品でも、少ない商品が売れていると思い込んでしまうこともあるようです。

ネガティビティ・バイアス

何かを購入する際に、口コミなどを確認する人も多いと思います。
例えば、100件の口コミで60件のいい口コミと30件の普通の口コミ、10件の悪い口コミがあった場合、すぐに購入せずにもっと調べてみようと思う方も多いのではないでしょうか。
一般的に考えれば、6割がいい意見、1割が悪い意見なので、いい商品である可能性が高いですが、その1割に目が行ってしまいます。
商品レビューでも人間関係でも、悪い印象はより気になってしまうものです。
悪い印象は記憶に残りやすく、いい印象よりも目立ってしまいます。
また、記憶に関しても、楽しかった記憶よりも辛かった記憶などの方が鮮明に覚えているものです。
行為者-観察者バイアス

このバイアスは、同じような状況に置かれた場合にその理由に関して、自身のことの場合は状況や他者の影響も考慮する一方で、他者のことになるとその人の性格や行動に原因があると思うことです。
自身が何か忘れ物をした場合は、「朝急いでいたから」や「いつもと別なカバンにしたからだ」などと思うのに対して、同じ状況で他者が忘れ物をした場合、「あいつはだらしないから」などと思いがちです。
人間は他者の行動については、状況などは過小評価し、その人の特性や性格を重視します。

自己支援バイアス

奉仕バイアスなどとも言われるもので、いい結果の時は自分のおかげだと思う一方で、悪い結果の時は周りや他者が原因と思います。
例えば部下がミスした時は、部下が悪いと言いますが、部下が成功した時は自分が教えたからだなどと思うことです。
他にもテストでいい点を取ったときは、自分の努力のおかげだと思うのに対して、悪い点の時はテストや先生が悪いと思うなどもあります。
このバイアスがあることで人間は自信を失わずに、生きていけるともいわれています。
このように人間は、非合理的な部分も多く、自身に都合よく考えることも多いです。
他者と関わるときは、それを前提に客観的な視点で物事を見れるといいですね。
この記事を書いた人
『イートラスト株式会社 テクニカルチーム』
青森県出身。8年間、小売業界に従事しつつ趣味でライターとして活動。大手サイト(Yahoo!、朝日新聞社)の記事投稿やTokyoFMのラジオ出演の経験も。2022年にイートラストに入社。好きなものは家電、インディーズ音楽、動画編集。