心にくるのは思い出?それとも憂鬱!?『ご当地発車メロディー』
普段駅で何気なく耳にする電車のドアが閉まる前になる音楽「発車メロディー」。
これを聞くだけで、地方出身の人は東京を感じたり、最近ますます増える外国人観光客にも日本を感じるものだったり、かと思えば最寄り駅で流れる曲は「仕事に行かなきゃ!」なんて憂鬱を感じたり・・・。
そんな日本人の生活に沁みついた音楽にも、だんだんと街の顔として個性を付けるようになってきました。
それがご当地発車メロディーです。
今回はそんな「ご当地発車メロディー」について、ご紹介していこうと思います。
発車メロディーの歴史とは
発車メロディーとは、列車の発車を知らせるために使われる音楽や音響効果のことです。
そもそも発車メロディーの発祥は諸説ありますが、日本の鉄道では、1960年代から徐々に導入されるようになりました。
当初は単純な電子音やベルの音が使われていましたが、今以上に通勤ラッシュも激しい時代の中で、耳にキーンとくるベル音が大きく不快との声も。
またホームによって聞き分けづらいなどという声が多かったため、利用者へのサービス向上と騒音対策が目的に1980年代以降は、より洗練された音楽が使われるようになりました。
発車メロディーは、単なる発車の合図だけでなく、駅の雰囲気を演出する役割も果たしています。
地域や路線によって異なる曲が使われているのは、その地域の文化や歴史を反映したものだと言えます。
そんな発車メロディーの中でも「ご当地発車メロディー」を紹介していこうと思います。
JR高田馬場駅<鉄腕アトム>
ご当地メロディーの中でもかなり有名なのが、山手線の高田馬場駅で流れる、鉄腕アトムの歌。
なぜ高田馬場駅なのかというと、作中に出てくる鉄腕アトムが誕生した『科学省』が高田馬場にあるという設定で、制作した手塚プロダクションの最寄り駅でもあることからなんだそうです。
東京メトロ日比谷線 秋葉原駅<恋するフォーチュンクッキー>
秋葉原といえば、一世を風靡したAKBということで、東京メトロが依然利用者向けに行った投票企画で選ばれたのが、AKBの代表曲『恋するフォーチュンクッキー』。
こちらは日比谷線の上下線でバージョン違いを聞くことが出来ます。
JR水道橋駅<闘魂こめて>
水道橋と言えば東京ドームの最寄り駅ということで、東京ドームを本拠地とするプロ野球チーム・読売ジャイアンツの応援歌『闘魂こめて』が総武線のホームで流れます。
観戦前に聴けば気分がアガること間違いなしですね!
JR池袋駅<ビックカメラのテーマソング>
最近山手線で追加されたご当地メロディーが、『♪東が西武で西・東武』でおなじみの家電量販店・ビックカメラの歌です。
駅東口に何拠点も構える池袋の顔的存在ですが、実は最近歌詞が変わっているんだそうです。
以前の歌詞
『不思議な不思議な池袋~東が西武で~西東武~たーかくそびえる~サンシャイン~ビーック~ビックビック~ビックカメラ♪』
現在の歌詞
『ふくふく~ふくろう~いけぶくろ~でんでん~でんしゃが8路線~やまのて~しょうなん~さいきょう~とうぶ~せいぶ~まるのうち~ゆうらくちょう~ふくとしんせん~さあ行こう~ビーック~ビックビック~ビックカメラ♪』
メロディーは変わらないのですが、早口言葉みたいになっていますね~
初めて知った方は今度ビックカメラの店内で耳をすましてみては?
まとめ
近年、発車メロディーに対する関心が高まっています。鉄道ファンやメロディー愛好家の間で、各駅の発車メロディーを収集・共有するウェブサイトなども登場しています。
発車メロディーの独特の音色が心地よかったり、情感に訴えてきたりするわけですが、実はあの音の再現が皆さんでも出来るんです。
実は、発車メロディーを最初に作ったのは、かの有名な楽器メーカーのYAMAHAなんです。
特にJR東日本で流れている皆さんの最寄り駅の多くのメロディーはこのYAMAHAが制作したものです。
YAMAHAの電子鍵盤の(MIDI)音源にはプリセットであの発車メロディーに使われている音源が入っています(※型番によります)。
家にお持ちの方は試しに鳴らして探してみてはいかがでしょうか。
また、今後は駅の改修や新駅の開業に合わせて、発車メロディーも新しいものに変更されることがあります。
より洗練された音楽性や地域性を反映した発車メロディーが登場していくことが期待されます。
鉄道の魅力を高める一つの要素として、発車メロディーの役割はますます重要になっていくでしょう。